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1975年、ハンガリー・ゲデレー生まれ。何本かの短編映画を手がけたのち、大学の卒業制作作品 『Nincsen nekem vágyam semmi』(00)で長編映画を初監督。プロの監督としての長編デビュー作 『Szép napok』(02)では、ロカルノ映画祭銀豹賞やソフィア国際映画祭グランプリなど数多くの賞に輝く。 ジャンヌ・ダルクの物語に基づいたオペラ映画『Johanna』(05)は、カンヌ国際映画祭の“ある視点”部門で上映され、 ハンガリー映画批評家賞の監督賞など6つの賞を獲得した。『Delta』(08)はカンヌのコンペティション部門で上映され、 国際批評家連盟賞を受賞したほか、ハンガリアン・フィルム・ウィークにてグランプリを含む3つの賞を受賞。 続く『Szelíd teremtés - A Frankenstein-terv』(10)もカンヌのコンペティション部門に出品された。 俳優としてのキャリアも長く、数多くの映画、TVドラマに出演し、本作でも野犬ブローカー役を演じている。
題名の『ホワイト・ゴッド』には、どのような意味がこめられているのですか。
犬の視点では人間は神のようなもの。犬は神という主人に仕える、常に社会的に見捨てられている存在の象徴である、 という観点にこの映画を置きたいと思いました。私は以前から神の特徴に興味がありました。神は本当に白人なのか? それとも人にはそれぞれの神がいるのか?白人は支配し、植民地化することだけに長けていることを、何度も証明してきました。 ホワイトとゴッドという言葉の組み合わせは多くの矛盾をはらんでおり、だからこそ強烈な魅力を感じたのです。
犬との撮影はどうでしたか。
犬との撮影にはセラピー効果がありましたよ。撮影中は犬が私たちに合わせるのではなく、 私たちが犬に合わせなければなりませんでした。アメリカから招いたアドバイザーの指示に必ず従いました。 どのシーンも犬に苦痛を与えてはならず、犬にとっては遊びでなければなりません。それに勇気づけられる体験でもありました。 この作品に出演した犬は皆、収容所から連れてきたのですが、撮影が終わると一匹残らず飼い主を見つけて引き取られていきましたから。
この作品はメロドラマ、冒険譚、復讐劇といった異なるジャンルの要素を組み合わせていますね。
融合というより、むしろ新しい解釈と言えるでしょう。メロドラマのような人生を送っている人もいれば、 サスペンス・ドラマのような人生を送っている人もいます。そうした日々の現実が、テレビのチャンネルを替えるように簡単に入れ替わります。 いろんなジャンルを並べてひとつの大きなアイデアを形にするのは、ワクワクするやり方だと思いました。
最後の40分は、これまでに観たことのない映像でしたね。
これは大衆が蜂起する瞬間です。ほかの種族や敵対する相手やマイノリティの立場に立つことを拒否すれば、 どんなことになるかがわかるように、大衆の蜂起を象徴的に表現できる映像を模索しました。マイノリティの視点を示したかったのです。 アートは批評的なスタンスを決して手放してはなりません。社会の顔に向かって鏡を掲げるべきです。
観客のどんな感情をかき立てたいですか。
これは道義的な問いを突きつける極めて道徳的な映画なので、観客は道義的な答えを導き出すことになるでしょう。 けれど私にとって一番大切なのは、この映画を皆さんがドキドキしながら観てくれることです。
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